太陽電池の基礎知識


     太陽電池の性能を表す最も重要な項目として、「光電変換効率」が挙げられます。この「光電変換効率」は光エネルギーを
        電気エネルギーに変換できる割合を表す数値で、(光電変換効率 = 出力エネルギー ÷ 入射する太陽の光エネルギー ×    100%)という算式で求めることができます。

     現在市販されている太陽電池の光電変換効率は太陽電池セルで10~20%程度となっています。光電変換効率が100%に
    ならないのにはいくつかの理由があります。


     ①光学要因(反射や散乱)による損失
      
太陽電池セルの表面で光の一部が反射や散乱をしてしまうために、太陽光の一部はセルの中まで到達できません。半導
       体に入らないと光を電気に変換できないため、光電変換率は100%になりません。

     ②太陽光のエネルギー分布とセルの吸収感度部分を一致させることが難しく、全ての太陽光のエネルギーを電気に変換する
              ことができないため、光電変換率は100%になりません。

     ③吸収された光でも長い波長や弱い光は粒子を発生させることができず、例え粒子を発生させることができても、電極まで到
              達することができない粒子があるため、すべての光を電気に変換することができないため光電変換効率は100%になりませ
         ん。

     ④太陽光セルの材料(シリコンなど)や電極の部分には内部抵抗といわれる電気的な抵抗があり、その内部抵抗が電気を熱
      に変えてしまうので、すべての光を電気に変換することができないため光電変換効率は100%になりません。

     以上の理由により、太陽光エネルギーの全てを電気に変換することはできません。しかし、セルの表面に反射防止膜を形成し
    てできるだけ反射を防ぐというような様々な改善策も研究されています。





          太陽電池のカタログなどに記載されている出力値は、一定の基準のもとで測定した値を記載しています。この基準となる状態
   は、モジュール温度が25℃、分光分布がAM1.5、放射照度が1000W/㎡となっています。

     モジュール温度
       太陽光電池モジュールは温度が上がると発電電圧が下がり、冷えると発電電圧が上がるという特徴を持っています。太陽
       電池の仕様を決定・比較するには一定の温度で測定しなければなりません。そこで、25℃を基準状態として出力特性を現
               しています。

     分光分布
      どのような波長分布の光を当てるかを現したものです。太陽光は大気圏を通過するときに大気中のオゾンや水蒸気などに
             よって光の一部が吸収されます。AM(Air Mass:エアマス)とは大気通過量のことです。AM1.0が光の入射角が90度(真上)
             から入射した光を意味しています。AM1.5はその通過量が1.5倍ということで、入射角が41.8度から入射した光ということです。

     放射照度
      1㎡当たりに到達した太陽光エネルギーの強さを現したものです。単位は(W/㎡)を用います。太陽光エネルギーは大気圏
      外ではおおよそ1400W/㎡ありますが、大気を通過して地表に届くと1000W/㎡程度になります。この1000W/㎡という値を
      放射照度の基準としています。




     

     太陽電池の電流・電圧は、電極の間にかませる負担によって変化します。負荷をかけないで電極同士を直接つなぐとショート
    (短絡)してしまいますが、このときに流れている電流を短絡電流(Isc)といいます。また、電極をつながない状態での電圧を開
    放電圧(Voc)といいます。電極がつながっていないので電気は流れず、開放電圧のときの電流はゼロになります。



denryu-dennatsu

     電極の間には最初は小さい負荷をかけて徐々に負荷を大きくしていくと、電流はI1 → I2 → I3 というように、電圧は V1 → V2
    → V3 というように変化していきます。そのときの点P(P1 →P2 → P3)をつないだ曲線を太陽電池のI-V曲線といいます。点Pの
        ときの出力は電圧×電流で求められるので、I-V曲線の内側にできる四角の面積が出力を現しているということです。「太陽電池
       の最大出力」とはこの四角の面積が一番広くなる時のことで、そのときの電圧と電流のことをVmax・Imaxといったりします。
     実際に太陽電池で発電する場合には、パワーコンディショナーと呼ばれる電力制御機器を使って、負荷を調整しながら最大出
       力で発電できるようにします。





     太陽電池は、気温や日照によってモジュールの温度が上がると、発電電圧が下がるという特性を持っています。例えば、結晶系のモジュールだと1℃温度が上がると、約0.4%低下してしまいます。そのため、太陽電池を設置する場合はできるだけ温度が上がらないように工夫することが大切です。





     太陽光が当たる受光面の放射照度(日射強度)が変わると、その強さに比例して発生電流(短絡電流)が変化し、その変化に伴って出力電力も変化します。
     放射照度は天候や太陽電池の設置方向・設置角度に大きく影響されますので、太陽電池が効率よく発電するためには設置状態への配慮も必要です。